AUTHOR

sou

  • 2023年2月3日
  • 2024年5月8日

儀式としての手洗い・除菌。現代的儀式についての考察

家に帰ったらまず手洗いをしましょう。この言葉を、私は幼い頃から何度も聞いてきた。そして、その通りにしてきたため、何も考えずとも帰ったら手洗いをするようになっている。手洗いができないときは、気持ちが悪いほどである。これに同意してくれる人は多いのではないか。 しかし、なぜ手洗いをすると手が清潔になるのか、私を含め多くの人は、よくわかっていないと思う。よくわかっていないのに、きれいになると思っている。こ […]

  • 2023年2月1日
  • 2024年5月8日

キルケゴールの基本情報【近代哲学史】

この記事では、実存主義の創始者と呼ばれることの多いキルケゴールについて紹介する。 この記事で扱うのは以下の三点である。 まず、キルケゴールの人物像、特に彼にとって重要な出来事であった「父親の呪い」と「婚約破棄」について紹介する。 次に、キルケゴールの思想の中心点について扱う。それを一言で言うならば、真の幸福を求めるか、仮初の幸福に満足するかどちらかしかない、というものである。 最後に、キルケゴール […]

  • 2023年1月27日
  • 2023年12月19日

哲学チャンネルep.19-20 初夢を哲学する

哲学チャンネルはこちら↓ 初めに 年が明けて、もうすぐ一ヶ月が経ちますが、今回の哲学チャンネルのテーマは、新春らしい初夢についてです。 初夢といえば、一富士、二鷹、三茄子でしょう。これは、この夢を見ると縁起がいいという三つのものですが、私はいまだにこの三つを初夢どころか、普通の夢ですら見たことがありません。このめでたいものセットは、もう古いのかもしれません。というより、今も昔も、なすびの夢なんて見 […]

  • 2023年1月19日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学8−4】ソクラテスにとっての知者とは何か?無知を自覚するから知ろうとする

前回は、ソクラテスが無知の知を自覚するきっかけとなった、デルフォイの神託とその謎、そして自己認識の正当性の条件について論じた。 今回は、ソクラテスにとって、知者であるとは何なのかを論じ、ソクラテスが自身を知者であると評価すること=自己評価の正当性と、誰かを知者であると評価するためにはどうすれば良いのかを論じる。結論から言えば、それこそが対話であり、それはその人が知者かどうかを吟味するものであった。 […]

  • 2023年1月12日
  • 2024年3月15日

【古代ギリシア哲学8−3】無知の知のきっかけとなったデルフォイの神託の謎。ソクラテス以上の賢者は誰もいない。

前回は、ソクラテスが訴えられた理由と、それが事実無根であることを述べた。そして、それにもかかわらず、ソクラテスが訴えられたのは、彼が人々、特にアテナイの有力者から恨みを買っていたからだった。そして、その原因は、ソクラテスが始めた対話・問答にあった。 ソクラテスがなぜ対話を始めたのかという経緯と対話の結果について、今回と次回の2回に分けて紹介する。 今回は、まず、「無知の知」の概要に触れ、「無知の知 […]

  • 2023年1月7日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学8−2】ソクラテスの裁判ー死刑判決の真相についてー

前回はソクラテスについて知る方法、ソクラテスの出自、容貌、人柄、周りからの評価などの基本的な情報について触れた。 今回は、そんなソクラテスがどうして裁判にかけられ、死刑判決を受けるに至ったかという裁判の概要を、ソクラテスの裁判を描いた著作『ソクラテスの弁明』に沿いながら明らかにしていこうと思う。 ソクラテスの裁判 『ソクラテスの弁明』について ソクラテスは、紀元前399年にギリシアのアテナイ(現在 […]

  • 2023年1月2日
  • 2024年5月8日

哲学チャンネル ep.17 朝起きられないことを哲学する

哲学チャンネルはこちら↓   初めに   この頃は、すっかり冬らしく、寒くなってきました。そんな冬の朝に、布団から出るのが億劫なことはないでしょうか。 どうやらそれは古今東西に共通するらしく、哲学者にとっても考える種となったようです。 そんなわけで今日紹介するのは、 「布団から出られないことを哲学する」 というものです。 今回はテーマも具体的で、想像力を働かせやすかったと思いま […]

  • 2022年12月23日
  • 2024年1月26日

哲学チャンネル ep.16富士山を哲学する(まとめ)2

哲学チャンネルはこちら↓ 初めに   さて、前回の続きです。前回はものの見方を二つに分けました。一つは、科学的で客観的なものの見方で、もう一つはそれではとらえきれない人間に対する見方でした。 科学的なものの見方は、中立的に観察された対象として存在を見出すというもので、そうした存在は、観察者に対して独立、自立した存在として存在するとされたのでした。それに対して、人間は、自分が自分であるとい […]

  • 2022年12月18日
  • 2024年1月26日

哲学チャンネル ep.16富士山を哲学する(まとめ)1

今回から、ポッドキャストの哲学チャンネルで話した内容をまとめる記事を書こうと思います。 哲学チャンネルはこちら↓   初めに 16回目のテーマは、以前扱った富士山についてのまとめです。 主な内容は 物理的な身体と身体感覚、意識上の自分との違い 「自分」とは、周りの空間、あるいは日常性という枠組みへを含んでいる 富士山や朝日との出会い方。日常性の中で出会うか、それを壊すものとして出会うか […]

  • 2022年9月16日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学8−1】ソクラテスの基本情報

前回までは、いわゆる前ソクラテス期と呼ばれる、紀元前6世紀から紀元前5世紀初めまでの間に活躍した哲学者を扱ってきた。今回からは、ソクラテスを初めとし、その弟子たちについて扱い始める。 まずは、おそらく哲学者のなかで最もその名を知られているソクラテスについてである。 この記事では、ソクラテスについての基礎知識について紹介する。 たとえば、ソクラテスは本を書かなかったのに、どのように我々はソクラテスを […]