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哲学

  • 2023年2月1日
  • 2024年5月8日

キルケゴールの基本情報【近代哲学史】

この記事では、実存主義の創始者と呼ばれることの多いキルケゴールについて紹介する。 この記事で扱うのは以下の三点である。 まず、キルケゴールの人物像、特に彼にとって重要な出来事であった「父親の呪い」と「婚約破棄」について紹介する。 次に、キルケゴールの思想の中心点について扱う。それを一言で言うならば、真の幸福を求めるか、仮初の幸福に満足するかどちらかしかない、というものである。 最後に、キルケゴール […]

  • 2023年1月19日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学8−4】ソクラテスにとっての知者とは何か?無知を自覚するから知ろうとする

前回は、ソクラテスが無知の知を自覚するきっかけとなった、デルフォイの神託とその謎、そして自己認識の正当性の条件について論じた。 今回は、ソクラテスにとって、知者であるとは何なのかを論じ、ソクラテスが自身を知者であると評価すること=自己評価の正当性と、誰かを知者であると評価するためにはどうすれば良いのかを論じる。結論から言えば、それこそが対話であり、それはその人が知者かどうかを吟味するものであった。 […]

  • 2023年1月12日
  • 2024年3月15日

【古代ギリシア哲学8−3】無知の知のきっかけとなったデルフォイの神託の謎。ソクラテス以上の賢者は誰もいない。

前回は、ソクラテスが訴えられた理由と、それが事実無根であることを述べた。そして、それにもかかわらず、ソクラテスが訴えられたのは、彼が人々、特にアテナイの有力者から恨みを買っていたからだった。そして、その原因は、ソクラテスが始めた対話・問答にあった。 ソクラテスがなぜ対話を始めたのかという経緯と対話の結果について、今回と次回の2回に分けて紹介する。 今回は、まず、「無知の知」の概要に触れ、「無知の知 […]

  • 2023年1月7日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学8−2】ソクラテスの裁判ー死刑判決の真相についてー

前回はソクラテスについて知る方法、ソクラテスの出自、容貌、人柄、周りからの評価などの基本的な情報について触れた。 今回は、そんなソクラテスがどうして裁判にかけられ、死刑判決を受けるに至ったかという裁判の概要を、ソクラテスの裁判を描いた著作『ソクラテスの弁明』に沿いながら明らかにしていこうと思う。 ソクラテスの裁判 『ソクラテスの弁明』について ソクラテスは、紀元前399年にギリシアのアテナイ(現在 […]

  • 2022年9月16日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学8−1】ソクラテスの基本情報

前回までは、いわゆる前ソクラテス期と呼ばれる、紀元前6世紀から紀元前5世紀初めまでの間に活躍した哲学者を扱ってきた。今回からは、ソクラテスを初めとし、その弟子たちについて扱い始める。 まずは、おそらく哲学者のなかで最もその名を知られているソクラテスについてである。 この記事では、ソクラテスについての基礎知識について紹介する。 たとえば、ソクラテスは本を書かなかったのに、どのように我々はソクラテスを […]

  • 2022年8月25日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学7−2】ソフィストとはなにか〜プロタゴラス、ゴルギアス、アンティポン〜

はじめに 前回の記事で予告したように、今回は個々のソフィストについて紹介していく。 今回紹介するのは、ソフィストの中でも有名な人物で、プロタゴラス、ゴルギアス、アンティポンである。 ソフィストとは何かについては、こちら! ↓   徳(アレテー)とは何か さて、前回述べたように、ソフィストの教育内容は個々人によってさまざまであったが、彼らは徳(アレテー)を教えることを共通としていた。 この […]

  • 2022年8月21日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学7−1】ソフィストとはなにか

ソフィストとは、紀元前5世紀中頃のギリシアで誕生し、後の古代ローマまでさまざまな形で続いた職業教師である。彼らは、それまでの古代ギリシアの伝統的な教育であったホメロスなどの詩に代わって、新たな事柄を青年に授業料をとって教育した。 このソフィストが特に活躍したのが、アテナイである。なぜ当時のアテナイでソフィストが流行し、活躍したのか。また、「ソフィストである」と当時みなされたソクラテスやプラトンにつ […]

  • 2022年8月17日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学6-3】多元論者と原子論〜レウキッポスとデモクリトス〜

前回に引き続き、パルメニデスの存在論と現象世界を調停する思想であり、パルメニデス以後の哲学者の仕事の集大成として原子論というものが登場する。この思想は基本的には、エンペドクレス、アナクサゴラスの思想の延長線上にある思想で、彼らと同じく存在者の構成物質に不生不滅を認める点でのみパルメニデスを継承し、それらの物質が多数であり、運動することで宇宙が現にあるように生じたとする点でパルメニデスに反し、現象に […]

  • 2022年7月29日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学6−2】多元論者と原子論〜アナクサゴラス〜

アナクサゴラスについて アナクサゴラスは、BC500年ごろイオニア地方で生まれ、BC456年ごろアテナイへ移住し、アテナイの有名な政治家で将軍のペリクレスと親交をもったという。プラトンの著作の対話篇にも、ソクラテスがアナクサゴラスの著作を読んだという記述があり(パイドン97c)、アテナイにおいてアナクサゴラスの思想は広く流布していた。もっとも、ソクラテスはその本を読んで失望するのだが。(この話はま […]

  • 2022年7月27日
  • 2024年5月8日

【古代ギリシア哲学6−1】多元論者と原子論〜エンペドクレス〜

思想的背景、振り返り 前回扱ったパルメニデスらエレア派が、古代ギリシア哲学に与えた影響は大きかった。それまでの哲学者は、現象を支配する根源的な原理を探求した。イオニア学派はそれを、自然の物質とし、ピタゴラスはそれを数とし、ヘラクレイトスはそれを争いとし、火を象徴とした。彼らは皆、現象世界の真のあり方、その原理、根源は何なのかという問いから出発した。それは、今、目の前にある多様な世界について、その隠 […]