『チェンソーマン』第9話「京都より」のまとめ・分析・面白いところについて

『チェンソーマン』第9話「京都より」も、非常に内容が濃く、面白かった。

今回は、戦闘シーンがメインで、マキマの能力が初めて登場した。また、コベニの意外な力と、デビルハンターとしての苦しみも描かれていた。

そんな第9話「京都より」の内容をまとめ、面白いシーンやテーマを分析し、考察していこう。

 

ストーリー

デンジと刀の男の戦闘

姫野、消滅前に、アキに自分が死んだら泣いてほしいと伝える。消滅した姫野。ゴーストも謎の女の召喚した蛇に丸呑みにされる。

謎の男、魔人=パワーが逃げたと、謎の女に伝える。謎の女、目的はチェンソーの心臓だと言う。

蛇に倒されたゴーストが、手だけの姿で、デンジのチェンソーを起動させる。

チェンソー化したデンジと、刀状の男が交戦。

アキは倒れ込み、放心状態。

謎の女=沢渡が応援を要請。沢渡の爪が一枚色が変わっている?剥がれている?

銃を持った男二人が、刀の男を援護。刀の男、腕か心臓を狙えと言う。

デンジ、援護に来た男を人質にする。

「1ミリでも動いてみな。お仲間の顔が、おミンチになるぜ」

刀の男は、仲間の男もろともデンジを真っ二つに切り捨てる。戦闘終了後、刀の男、泥のようなものを顔から落として、人間の姿に戻る。

京都に着くマキマ

各地で公安のデビルハンターが撃ち殺された姿。マキマもまた撃ち殺されたはずだが、生きていた。

京都駅にて。マキマを待っている二人。公安が襲われた情報が入る。待っている人間が、「待ち損かよ」とこぼす。

だが、血に濡れたマキマが新幹線から出てくる。待っていた二人が、どこか撃たれたか聞くが、マキマは、これは返り血であり、撃たれていないと言う。

マキマ、標高の高い神社を貸切って、終身刑以上の囚人を30人ほど借りる。

マキマ謎の方法で殺人

東京で、デンジらを襲撃した犯人ら、デンジを運ぼうとする。その際、一人の男が、「変な感じがする」と言い出し、上から押しつぶされるようにして死ぬ。

沢渡、マキマの仕業を疑い、仲間にマキマの死を確認しようとするが、その男も同様の方法で死ぬ。

マキマ、囚人と公安に目隠しをした状態で、手で何かを潰すような動作。マキマは、内閣官房長官直属のデビルハンターで、なんの悪魔と契約しているかを知ることは許されない。

マキマは囚人に名前を言わせた後、両掌を合わせ、回転させ、何かをねじ切るような動作をする。すると、同じ名前の襲撃犯が、手の動きと同じような動きで首が捩じ切られ、潰れ死んだ。と同時に、囚人も倒れた。

これを何度か繰り返し、襲撃犯は、沢渡と刀の男のみになる。マキマ、ここでできることはないから東京へ戻るという。

コベニと襲撃犯の戦闘

コベニ、一緒にいた同僚に守られ、生きていた。ナイフを手に持ち襲撃犯と対峙。

沢渡、「蛇、しっぽ」と言う。同時に、二つ目の爪が変色?剥がれる?巨大な蛇の尻尾がコベニを襲うが、コベニはそれをかわす。

そして、ナイフで刀の男の腕を切り落とし、銃を奪い、撃つ。沢渡とコベニで銃撃戦。コベニ、デンジの上半身で、銃弾を防ぐ。コベニ、感情のない冷静な目で、沢渡を狙う。沢渡、なんとか車を発進させ、逃げる。

コベニ、デンジに、

「こないだは、殺そうとしてごめんね」

「殺そうとしてごめんって、なんだそれ」

「だめだ、ハイになっちゃってる」

と、泣きながら、笑いながら、震える声で言う。そこで、同僚が自分を庇って死んだシーンを思い出す。この仕事を続けていたらおかしくなるから、姫野にやめると言うと決める。

東京に帰るマキマ

特異課のハンターの円に、特異課が壊滅的であること。そして、特異課1から3課までを4課に併合するとのことを伝えられる。

そして、円は、マキマに辞表を渡す。

円:

「最後に教えてください。マキマさんは今回の事態を、どこまで想定していましたか」

マキマ:

「一般市民に、公安の内部事情を教えられないな」

「円くん、今までありがとう。これ(辞表)渡しておくね」

京都からついてきた二人、自分たちは特異課に入るわけではなく、一週間後には京都に帰ると言う。

マキマは、「残念。東京は美味しいお店がたくさんあるのに」と言う。

 

ストーリー分析

戦闘メイン

今回は、戦闘がメインで、ストーリーが進んだ回だった。前回のしんみりは、どこへやらで、各キャラクターが縦横無尽、思うがままに動いていた。

ストーリー上のポイントとしては、以下の通りだろう。

前回現れた謎の女が、沢渡(さわたり)という名前であることが判明。前回、この沢渡は、無敵感漂う強キャラ風だったが、今回は、かなり能力に制限がありそうな感じが見られた。

デンジが刀の男に真っ二つにされる。まさか主人公が死ぬわけはないので、どうやって復活するのかが見ものだ。

マキマの力が初めて登場した。まだ、完全にはわからないが、名前を言って、身代わりを用意したら、離れた場所からでも殺せるような力なのだろう。

コベニが実は、相当強いことも判明した。おそらく、契約している悪魔の力を使わずに、蛇の攻撃を避け、刀の男を倒した。

デビルハンターが失うもの

姫野が言っていたように、デビルハンターは、人の死に慣れてしまい、涙が枯れてしまう。

これは、デビルハンターが、人として大事なものを失うということで、人の死を悲しめなくなり、合理的・自己中心的にしか考えられなくということだろう。

コベニは、まさに人として大事なものを失いかけている、その岐路にある。

彼女は、自分を庇って死んだバディの死と、以前、自分が助かるために身代わりで殺そうとしたデンジの死を見ても、「ハイ」になってしまったため、泣きながら笑いがとまらないというような感情がぐちゃぐちゃになってしまった。

コベニは新入りで、まだマトモであるが、彼女自身が直感しているように、このまま続けていたら、人として大事な感情が壊れる。それが、デビルハンターなのだろう。

デビルハンターの極端な自己中心さとマキマのクソさ

それを裏付けるように、他の登場したデビルハンターは、クズばっかりだった。

まず、京都で待っていた二人は、公安のデビルハンターが襲撃に遭い、マキマの生死が不明なのに、マキマの心配をするどころか、無駄足になったことを嘆いている。とんでもない自己中心さである。

また、マキマも、姫野にクソだと言われていただけある。囚人をおそらく身代わりに殺しても何の罪悪感もなく、また、自分の部下たちが死んだ報告を受けても、一切何も感情が動かない。そして、円にこの事態になることを予測していたのじゃないかと言われても、平然と、民間人には言えないと言う。

これは、マキマが円の辞表を受け取った直後に、バッサリと元部下を部外者扱いしたということだ。これは、とんでもなく性格が悪い。というか、感情が全くないように思える。

そして、円もまた、きな臭くなってきたら、さっさと公安を辞めた。そこには、同僚の死を悼む様子はない。

どいつもこいつもクズばっかりだが、そもそも、クズで自己中心的じゃないと、公安なんてやってられないのだろう。普通の感情をもっていたら、仲間がどんどん死んでいくのに耐えられないし、自己中心的じゃないと生き残っていけないということだ。

アキが泣いていないこと

つまり、姫野とアキが特異例だったのである。だが、少し心配なのは、アキは、姫野が死んだ後、呆然としており、泣いてはいなかったことである。

これは、あまりにも衝撃的すぎて、現実に追いつけていないだけなのだろうが、もし、アキが姫野の死を泣けないのだとすると、それはあまりにも姫野がかわいそうである。

 

謎・伏線

デンジの心臓はなぜ狙われていたのか?

マキマについて

なぜ、撃たれたのに死ななかったのか?

マキマの契約している悪魔は何で、その力は何なのか?

マキマの地位、内閣官房長官直属のデビルハンターとは?

マキマは、今回の件を想定していたのか?

 

まとめ

この回は、戦闘シーンがメインではあったが、襲撃を生き残ったデビルハンターたちの性格も描かれていた。

彼らは、デビルハンターという過酷な職業をやっていけるだけの狂気を抱えており、普通の人間とは本質的に違うのだろう。それは、もともとの素質なのかもしれないし、デビルハンターとしてやっていくうちにそうなっていったのかもしれない。

その点、デンジは、最初からある意味狂っており、それもまた、マキマが興味をもつ理由なのかもしれない。