『チェンソーマン』第10話「もっとボロボロ」内容まとめと、見どころやテーマについて

『チェンソーマン』第10話「もっとボロボロ」も非常に面白い回だった。

バディの姫野を失ったアキの感情と、その覚悟が見れたかと思えば、岸辺という半分ネタキャラのような強キャラが登場し、デンジとパワーとの戦闘シーンもあった盛りだくさんな回であった。

それでは、そんな第10話の内容をまとめ、面白いシーンや、重要だと思われるテーマについて、語っていこう。

 

内容まとめ

アキの涙

入院しているアキのお見舞いに来ているデンジとパワー。デンジは、アキに、四課のメンバーは、コベニと円以外死んだと伝える。

アキは自分が契約している呪いの悪魔・カースに、あと2年の寿命であると言われる。

アキはタバコに火をつけようとするが、なかなかつかない。アキは、今までそういうときに姫野が火を貸してくてたことを思い出す。そして、アキは泣く。

デンジの葛藤?

デンジは、姫野の死を泣かない。パワーが死んでも、アキが死んでも、泣かない。マキマが死んでも、しばらく落ち込むが、3日後にはまた楽しく過ごせる、と思う。

「朝昼晩食って、寝て、風呂入れりゃ、俺最高だもん」

「心臓だけじゃなく、人の心までなくなっちまったのか?」

とデンジは一瞬悩む。

だがそれは、ほんの一瞬で、楽しくないことは考えないと言い、考えるのをやめた。

アキの選択

以降、「京都から来た二人+アキ」のパートと、「デンジ・パワーの修行」パートが交互に入れ替わりながら進む。それぞれをまとめる。

 

アキは今回の戦闘で、狐の悪魔を失っており、戦力が低下していた。そこで、京都から来た二人に、公安を辞めるか、新しい悪魔と契約するか、の二択を突きつけられる。

アキは、

「家族を殺した奴も、バディを殺した奴も、まだ生きてる。なのに、なんで辞めれるんですか」

言う。

そのあと、姫野の妹がやってきて、姫野が妹に宛てた手紙を思い出す。

そこには、アキについて色々書かれており、

「どうしたらアキ君をやめさせられるかな」

「言ってもまたうやむやなカンジで流されちゃう」

「まじめに言ってんだけどなー」

とあった。

それでも、アキは、大きな代償を覚悟して、新たな悪魔「未来の悪魔」との契約を選ぶ。

 

頭のおかしな岸辺との修行

マキマは、デンジが敵に狙われているから、特異課を強化しようとしていた。

その一環として、マキマは、デンジとパワーの修行をするために、特異一課のデビルハンター岸辺に会わせる。岸辺は、次のように問う。

「仲間が死んでどう思った?」

「敵に復讐したいか?」

「お前たちは、人と悪魔、どっちの味方だ?」

デンジとパワーは、どれもテキトウな返事をする。岸辺は、

「お前たち、100点だ」

「お前たちみたいなのは、めったにいない。素晴らしい。大好きだ」

そして、岸辺は、次のように言う。

「そして、アルコールにやられた脳でついに閃いた」

「俺は最強のデビルハンターだ。最強の俺を倒せる悪魔は最強なわけだから、お前たちが俺を倒せるようになるまで、俺はお前たちを狩り続ける」

実際、岸辺はめちゃくちゃ強く、修行と称して、二人を殺しては、血で復活させ続けた。

「俺はガキの頃から力が強くて、おもちゃをすぐ壊しちまう。だから、壊れないおもちゃが欲しかったんだ」

デンジ、殺されすぎて、頭がおかしくなる。パワーが殴って、元に戻る。

二人は話し合った結果、頭を使うことにする。そして、岸辺が、二人を起こしに来たところ狙うことにする。

翌朝、二人は、メガネをかけ、

 パワー:

「超インテリ作戦開始じゃ」

岸辺が来る位置に、パワーが血の武器を設置し、さらにデンジが奇襲をかけたが、やられる。デンジのメガネが吹っ飛び、割れる。

岸辺は、「今までで一番よかった」、「今日は終わり」と言って去ったかにみえたが、デンジにナイフを投げる。

「獣が狩人の言葉を信用するな」

 

見どころ・重要シーン

シリアスとコミカルの対比

今回の見どころは、真剣なアキと、ネジの外れているデンジとパワーの対比にあるだろう。構成上も、シリアスな雰囲気のアキたちと、コミカルでふざけた感じのデンジ・パワーのシーンが対照的に演出されていた。デンジとパワーがメガネをかけているところは、ほとんどギャグシーンだろう。

このアキのパートのシリアスさと、デンジ・パワーのパートのコミカルさを、細かく切り替えることで、話全体が重くなりすぎないようになっている。

アキの涙

アキは、姫野が泣いてほしいと願ったように、姫野や、他の仲間の死を、泣く。

姫野が死んだことで、アキはおそらく、作中で唯一のまともで、人間としての心をもっているキャラクターになってしまった。

それを証明するように、アキが泣いていることに対して、デンジは「忘れた漫画取りに戻ったら、泣いてんだけど」と迷惑そうだし、京都から来た男は、「あれー、泣いてた?」と無神経に言う。

どいつもこいつも、クズばかりといった有様である。

デンジの葛藤

だが、デンジもここで初めて葛藤する。

デンジは、多分他の誰が死んでも自分は泣かないだろうと思い、「心臓だけじゃなく、人の心もなくなったのか」と考える。

ここでやっと、人間じゃないものと融合する作品に定番の「俺は、人間なのか?」という葛藤のシーンが現れるも、「ま、シリアスなことは考えなくていっか」とデンジらしく言い放つ。

意外とこのセリフは、この作品の重要なテーマでもある気がする。

岸辺というキャラ

岸辺は、自称「最強のデビルハンター」である。実際、デンジとパワーが相手にならないほど強い。つまり、最強キャラ的な位置付けにある。

だが、そのキャラはぶっとんでおり、ふざけているといってもいい。特に、

「そして、アルコールにやられた脳でついに閃いた」

「俺はガキの頃から力が強くて、おもちゃをすぐ壊しちまう。だから、壊れないおもちゃが欲しかったんだ」

このセリフは、笑わせにきているだろう。

つまり、岸辺とは、最強なのにネタキャラ的な側面があるキャラクターなのである。

 

謎・伏線

アキの契約する「未来の悪魔」とは?その契約の代償は?

マキマは忙しくなると言っていたが、何をするのか?

岸辺は一体何者?何の悪魔と契約している?修行はどこまで続く?

 

まとめ

今回の話は、まさに笑いあり涙ありのストーリーで、それが交互に入れ替わりつつ展開していた。

シリアスとコミカルの対比と最初に述べたが、もしかしたら、これが『チェンソーマン』全体を規定する雰囲気なのかもしれない。

というのも、デビルハンターとは、岸辺が言うように、常人には務まらない仕事だ。「ネジがぶっ飛んでいる」必要がある。そして、各キャラはそれぞれ別々の「ネジの飛び方」をしている。

それを、常識的で正常な人間であるアキの視点で見ると(正確には、視聴者がアキに感情移入すると)、残酷で非道なクズに見えるし、俯瞰して見ると、ふざけているようで、もはや滑稽に見えるのである。

この狂人の残酷さと滑稽さが、うまく対比されていたのが今回の話だろうと思う。